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日国第三版 ことはじめ

第2話 昨日より今日 今日より明日

『日国第三版 ことはじめ』第2話_1
『日国第三版 ことはじめ』第2話_2
『日国第三版 ことはじめ』第2話_3
『日国第三版 ことはじめ』第2話_4
『日国第三版 ことはじめ』第2話_5
『日国第三版 ことはじめ』第2話_6
『日国第三版 ことはじめ』第2話_7
『日国第三版 ことはじめ』第2話_8

©久木ゆづる/小学館

 

日本国語大辞典の改訂で、まずことはが取り組んだのは、用例の確認でした。用例は『日本国語大辞典』のキモ(この話はまた次回……)で、松井栄一先生は第二版が出たあとも集め続けていました。

その残された用例カードの数は、なんと約3万枚にものぼります。ではなぜ松井先生は用例を集め続けていたのでしょうか。

松井先生は、著書のなかでこう語ります。

「次の三版が、どのような形でいつの出版になるかわかりません。紙の辞書になるのか、オンデマンドのような形で出版されるのか、はたまた電子化されるのか。その形を想像することも楽しみの一つです。しかし、『日国』の歴史は、たゆみなく続いていくのだと思います。」

(松井栄一 著/佐藤宏 編『50万語を編む』より)

つまり先生は、第二版刊行の直後から、もう第三版以後を見据えて行動していました。(しかも第三版が電子化する可能性についても予想しています!)
そして、いつか始まる改訂作業のために、用例を集め続けていたのです。
そんな用例カードの一枚一枚から、先生の「日国」にかける思いが感じられます。

私たちが今取り組んでいる用例の確認(この詳細も、またいずれ)は、松井先生からの宿題なのかもしれません。託された用例を、しっかりと今後の辞書作りに生かしたいと思います。

そんなこんなで、私は今日も書庫にこもっています。
ここ、住めちゃうくらい居心地いいな……。

新人ハムスのアイコンA(新人ハムス)

『日国第三版 ことはじめ』第2話エンドカード

【次回、6月下旬公開予定!】

概要

いよいよはじまった日本最大の国語辞典『日本国語大辞典』の大改訂。30年の一度の大プロジェクトに、新人編集者の主人公(白部ことは)が抜擢。意気込みと辞書愛は十分、でも知識と経験はまだまだ? 先輩編集者の助けも借りて、この難事にいどみます! 『日本国語大辞典』の詳細もわかる半実録マンガが登場!!

プロフィール

久木ゆづる

東京都出身。漫画家、イラストレーター。2018年よりKADOKWA COMIC BRIDGEより漢和辞典編集者をテーマにした『じしょへん』(全6巻)を刊行。児童向けジャンルでも活躍中。著書に『凛々と咲く 八重の桜』全2巻(2013年 KADOKAWA)、『角川まんが学習シリーズ 日本の歴史』14巻本文(2015年 KADOKAWA)『角川まんが学習シリーズ まんが人物伝 チャールズ・シュルツ』(2019年 KADOKAWA)、『コミック版 世界の伝記57 ミヒャエル・エンデ』(2024年 ポプラ社)など。

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