第4話 確かさの要
©久木ゆづる/小学館
日国改訂で欠かせない作業が、今回のテーマである「出典検討」です。
用例は、見つけてもすぐに採用できるわけではありません。どの文献に、どんな形で、どんな意味で、どんな文脈で使われているのかを、慎重に確認する必要があります。そして最終的に掲載に値するかどうかまで見極める。この丁寧な検証を担っているのが、資料の扱いに長けた専門家「出典検討班」です。彼らの手で、膨大な文献の海からひとつひとつの文章がすくい上げられ、結果としてそれが辞書の「確かさ」を支えることになります。
用例は、言葉が生きていた証そのものです。だからこそ、その出典を吟味することは、辞書の信頼を支える根幹となります。『日本国語大辞典』の第二版が刊行されたあとも、出典検討班はより良い用例がないか調査したり、既存の用例の確認をやりなおしたりと地道かつ堅実に作業を続けていました。
松井栄一先生をはじめとする多くの先生方が、第二版刊行後も集めつづけていた用例も合わせ、その成果がいま第三版の改訂へとつながっています。言葉への飽くなき探求心が、日国という辞書を生かしつづけてきたのです。
「出典検討」とは、過去の言葉と現在の私たちをつなぐ橋を架ける営み。目立たないけれど、辞書づくりの舞台裏で静かに燃える情熱が、そこにあるのです。
 (新人ハムス)
(新人ハムス)
【第5話もお楽しみに!】










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