日本語マナーの歳時記
概要
言葉遣いへの心くばりは、相手とのコミュニケーションを考える上でも欠かせないものです。心があれば言葉遣いなんて二の次だというのもわからなくはありませんが、その心を何で表すかと言えば、態度や言葉でしょう。相手に対しての敬意や心くばりを表す言葉を「敬語」と呼びますが、この敬語は、ビジネスの場面でのみ使うものかというと決してそうではありませんね。目上の人との会話、改まった場面など、日常生活でもたくさんの場面で使われます。また、対面での会話以外に、電話応対、手紙とその範囲も広いでしょう。
言葉は常に生活に密着しています。服装にもTPOや季節感があるように、各場面でどれだけふさわしい言葉を選り分けて使うことができるかどうかが、肝心です。
場面と言葉の調和、そして心くばりを基本に、季節やその時々で話題になる、気になる言葉などを取り上げながら、言葉の疑問点や注意点、ポイントなどを見直す「日本語マナーの歳時記帳」として、ご覧いただければ嬉しいことと思っております。
プロフィール
井上 明美(いのうえ あけみ)
ビジネスマナー・話し方・敬語講師 国語学者、故金田一春彦(事務所)元秘書。 現在は在職中に引き続き、言葉の使い方や敬語の講師として、企業、学校など 教育研修指導の場で幅広く活躍。 「心くばりの感じられる生きた敬語の使い方」を 得意とし、話し方のほか、手紙の書き方などに関する執筆や講演も多い。 著書に『敬語使いこなしパーフェクトマニュアル』(小学館)、『金田一先生に教わった敬語のこころ』(学研教育出版)、『敬語美人になる!』(講談社)、『一筆箋、はがき、短い手紙の書き方』(主婦と生活社)、『真逆の日本語』(中経出版)などがある。最新刊『パーフェクトマニュアル 最新 手紙・メールのマナーQ&A事典』も好評発売中。
コラム記事一覧
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第 2回「浅い」と「深い」
春の季節を歌った歌というのもたくさんありますが、春のはじめ、初春を歌った日本の歌曲に『早春賦』(吉丸一昌作詞、中田章作曲)がありますね。 国語学者、故金田一春彦先生の著書の中にも、「春は名のみの風の寒さや」で始まるこの『早春賦(そうしゅんふ)』の歌詞は、春のはじめの微妙な季節感をうまくとらえている表現とあります。 春とは名ばかりで、肌にあたる風もまだ冷たく寒く感じるというような、春のはじめの…
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第 1回「手紙の役割・言葉の魅力」
現代社会では、相手との交流手段もさまざまで、携帯電話にメール、あるいはテレビ電話といったものまで、その手段に事欠くことがありません。メールは瞬時に届き、データなどもいっしょに送ることができる、電話もすぐに相手の声が聞けるという点でそれぞれ便利なものです。しかし、メールでは何か物足りない、もうひとつ伝えたいことがうまく伝わりにくいと感じる方も多いようです。 手紙をもらって嫌だと感じる人はほとんどな…
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